第10回　「ソラマメ」について

八百屋さんには春の野菜がいっぱい並ぶ季節になりました。春の野菜はこの時期しか食べられないものが多く、今回ご紹介する「ソラマメ」も生はこの時期しか手に入りませんね。
前回でもお話したように春の野菜は成長が取っても早く、また若芽のうちのを食べるものが多いので、早く食べる必要があります。「ソラマメ」も３日内に食べた方がよい野菜です。そして、形もかわいい「ソラマメ」は、はっきりと季節を感じさせてくれる野菜の一つです。

≪ソラマメ≫
原産地はあまりはっきりとしておらず、大粒は北アフリカ、小粒は中央アジアとか言われており、古代エジプトでも栽培され、日本へは中国より伝わったとされています。
名前の由来はさやが天に向かって生えるので「空豆」、実の形が蚕に似ているので「蚕豆」とも書きます。
旬は産地により異なりますが、春から夏（4月〜6月）です。
独特の甘味があり栄養のバランスがよくとれています。

「ソラマメの栄養」
「ソラマメ」は豆と野菜の両方の良いところを兼ね備えた、栄養バランスのよい優秀な食品です。
「ソラマメ」は若いうちに採る青果用種を野菜としています。
主にたんぱく質とでんぷんが多く含まれ糖質の約7割がでんぷんなので和菓子のアンにも使用されます。ビタミン類も豊富でビタミンB1,B2,Cと含まれ、特に粘膜保護し糖質や脂質をエネルギー代謝にかえるB2は枝豆より多くまれているとの事。他に鉄分、カルシウム、亜鉛も豊富に含まれています。皮には利尿作用があり食物繊維も豊富なのでうす皮ごと食べるとことをお薦めします。
疲労回復にも最適の野菜です。

「ソラマメ」のいろいろ
店頭ではあまり種類が選べませんが豆の大きさにより、
● 一寸ソラマメ（大粒種、打越一寸、仁徳一寸など）
● 八分豆（小粒種）
● 長さや種（讃岐長さやなど）
収穫期により乾燥種として採る完熟したものと、早生種の青果用種、晩生種（おたふく）に分かれます。

呼び名のいろいろ
地方によりいろんな呼ばれ方をしています
山陰地方⇒「夏豆」
奈良地方⇒「大和豆」
四国　⇒「唐豆」
静岡　⇒「がん豆」
中国上海は「板豆」⇒おなじみの「豆板醤」はこの地方のソラマメを発酵、熟成させたものです。
他に、「４月豆」、「５月豆」、「雪割豆」、「雁豆」などの呼ばれかたをしています。

「ソラマメ」の選び方
鮮度が命のソラマメはさやから出すと硬くなります。風味も急速に落ちますので、買うときはさやつきを買いましょう。さやは緑で鮮やかなもの、さやの中の綿が詰まっているような感触のもので均等に豆が育っていそうなもの、さやの産毛が新鮮なものを選びましょう。さやが黒ずんでいるのは古いものです。

「ソラマメ」の保存法
買ってきたらできるだけ早く茹でてしまいます。
又はポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存。風に当たらないようにしましょう。新聞紙に包んで冷暗所でもいいでしょう。
むいたものは硬めに茹でて冷凍保存もいいでしょう。

「ソラマメ」の調理のポイント
○　茹で方⇒茹で過ぎに注意です。塩を少々入れた湯で３〜４分強火でふたをしないで茹でます。豆の大きさにより茹で具合を加減するといいでしょう。余熱でも熱が入ることを考えて茹でましょう。
○　焼く⇒さやごと焼くのもおいしいです。さやが蒸し器の役割をしてまめのうまみが凝縮されます。

冷凍保存をするとソラマメのない時期でもスープなどで楽しめます。
お菓子にも使われることが多いです。

美味しいひと手間
豆の爪の部分である、お歯黒と呼ばれる筋に包丁で切れ目を入れることにより、早く茹で上がり適度に豆に塩気がつき、むきやすくなります。