第５回　「ニンジン」について

朝晩は過ごしやすくなりましたが、残暑が厳しい9月となっています。
今回は栄養価の高い「ニンジン」についてお話しましょう。
根を食べる野菜でオレンジ色をしている「ニンジン」はめずらしい緑黄色野菜です。
昔はニンジン嫌いな子供も多かったのですが、今はとても食べやすくなってきています。

≪ニンジン≫
原産地はアフガニスタン、アジア型ニンジンとヨーロッパ型ニンジンがあります。現在の主流はヨーロッパ型、アジア型はほとんど流通していません。栽培しにくいという点も普及しなかった理由です。
一年中流通している「ニンジン」ですが、本来の旬は秋から冬にかけて、秋のニンジンの主な産地は北海道、冬ニンジンは千葉・埼玉・茨城のなど、春夏ニンジンは千葉・徳島などです。

ニンジンはカロテンを多く含む緑黄色野菜のチャンピオン！　ビタミン・ミネラル類もバランスよく含まれており、ショ糖も含んでいるため特有の甘味を持っています。
加熱後もほとんどカロテンの量がへらないニンジンのβ--カロテンは体内に入ると必要量だけビタミンＡに変換されがん予防効果などが期待され、変換されないカロテンは強力な抗酸化力を持っています。
しかし、アジア型の金時ニンジンはカロテンは少なくリコピンが多いのが特徴です。リコピンはβ--カロテンとは違いビタミンＡには変換されませんが、大変強い抗酸化力を持っています。

「ニンジン」のいろいろ
アジア型
●金時ニンジン⇒「京ニンジン」とも呼ばれ、鮮やかな紅色で長さ30cmほど、甘味が強くニンジン臭さもないが、煮崩れしやすい。

●琉球ニンジン⇒「島ニンジン」と呼ばれ、長さ30〜40cm。暑さに強く黄色に近い色をしています甘味があり煮物、炒め物に向く。

●金美ニンジン⇒島ニンジンの改良型。長さ14cmぐらいでレモンイエロー。肉質は柔らかく甘味が強い。

ヨーロッパ型
●5寸ニンジン⇒現時の主流品種。どんな料理にも対応可能です。

●ベータリッチニンジン⇒β--カロテンが多く芯まで赤く甘味が強い。生食、ジュース向きです。

●ミニキャロット⇒10cm前後の小型。肉質も柔らかく臭さもない。

ニンジンは軸の切り口が細いもの。ひげ根が少ない。茎の周囲が黒ずんでいないものを選びましょう。
夏はポリ袋に入れ冷蔵庫で保存、冬は新聞紙にくるんで常温で保存ができます。土に埋めると春まで保存可能な場合もあります。

「ニンジン」の皮？
洗浄処理されて売られているニンジンはの皮ですが、実は剥けているのです。表皮のようなものは内鞘細胞(ないしょうさいぼう)といもので本来の皮ではありません。この細胞にはカロテン、ポリフェノール、旨み成分が豊富に含まれていますので、剥かずに食べることをお勧めします。

「ニンジン」の調理法
カロテンは生の場合10％、茹でた場合30％、油を使った場合50〜70％の吸収率があるというデータがあります。うまく取り入れましょう。
葉も栄養が大変豊富で、根の部分の2倍以上のビタミンAをはじめ、たんぱく質、カルシウム、ビタミンCなどが豊富ですので、上手に利用しましょう。
皮に近い方に栄養がありますので、皮は薄めに剥きましょう。

10月の料理教室｢ミルポア｣のテーマ野菜は「ニンジン」です。
洋風料理をいたします。
ニンジンを丸ごと食べましょう。